『詩的神話』  第3章 〜 開示 〜

〈愛とは、内蔵された光の露出である〉

アフロディーテの預言書の一説を

メシアは繰り返し繰り返し唱えた

 

 

メシアは、太陽神の炎を吸い込み、

野生ワシに戻った

そして、

流浪の旅立ちへと向かった

 

呪いを解く手立てはない

いにしえの神々へ祈りを捧げることが、

唯一、彼に許されることであり得た

 

廃墟となり砂漠に埋もれた神殿を

一つ一つ訪ねては掘り起こし

旅をつなげた

 

千余年の月日を経て

野生ワシのくちばしは摩耗し、

気品に満ちていた翼も消えた

 

ただ在るだけの、野生ワシは

それでも、

ベノースにかかったデビエスの呪いが

退去することを祈願した

 

最期に

祈りの木陰に横たわるベノースを想い、

太陽神の炎をはいた。

 

消えかかった炎の先に

フィリアとストルゲーの光が出現した時、

「ベノース・・・」と

声なき声を発して、息絶えた。

 

倒れ、朽ちた肉体には、

まだ魂の光が残っていた。

心の隅々までが露出し、

アフロディーテは、

その魂の残光のいっさいに、

汚れなき真愛をみた

 

「デビルは存在し得ず。

ただ心の内にある、

善の濃淡を照らすアガペーの光を」

幻聴のうちに、真実はあるか・・・